前回の記事からひと月ほど経ちましたが、ようやく第4回目です 笑
今回紹介するのは「鍵盤調整」です!読んで字のごとく、な調整です😉
この工程の目的は「鍵盤の動きをスムーズにすること」です🎹
鍵盤が下がったまま戻ってこない、飛び上がったまま下がらない、一部分だけタッチが重い…といったトラブルは、天然素材を部品に多く使っているピアノにはつきものです。
ピアノの鍵盤を外すと下の画像のようになっています。
鍵盤手前側と奥に金属のピンがたくさんあります。
手前側のピンがフロントキーピン、奥側のピンがバランスキーピンです。
鍵盤はバランスキーピンを支点として、シーソーのように動きます。バランスキーピンで鍵盤の位置を固定して、フロントキーピンで鍵盤の左右のブレを抑えています。
キーピンは真鍮でつくられています。時間が経つとくすみや錆が発生し、鍵盤の動きに影響が出るので、乾拭きや薬剤・研磨剤等で磨いてきれいにします。これだけでもタッチ感が改善されることもありますよ。
次に鍵盤自体の調整です。フロントクロス・バランスクロス・バランスホールの3か所を調整します。
これらの部分は先ほどのキーピンと接触しています。温湿度の変化でクロス(赤い部分)が膨張してしまったり、バランスホールが狭くなったりすると、摩擦が大きくなり鍵盤の動きが悪くなってしまいます。
鍵盤を押し下げたり、持ち上げたり、左右に揺すったりして各部の状態が適正かどうかを判断します。
フロントクロス・バランスクロスは、キーピンに対して片側0.2mmの隙がある状態
バランスホールは1cmほど鍵盤を上げた状態から手を離し、鍵盤がスムーズに下がり、前後のガタがない状態
に調整します。
0.2mmの隙間は実際にスケールなどで測るのではなく、鍵盤を左右に揺すった時の感触で判断します。
フロント・バランスクロスの隙が少ないときは、キープライヤーという工具を使って圧縮します。バランスホールがきついときは、キー穴こじりという工具で穴を広げます。
どちらもむやみやたらにクロスを圧縮したり、ホールを広げればいいというものではありません。やりすぎ注意!です。
鍵盤のガタが大きくなると、指の力が正しくアクションに伝わりにくくなりますし、雑音が出たり、弾いたときにとなりの鍵盤に接触したりする可能性もあります。
特に一度広げたバランスホールは、調整で小さくするのは困難です。
加減が難しい、繊細さを求められる工程です。
ピアノの鍵盤の動きが悪い、弾きにくい…というときは、ぜひ一度ご相談くださいね🌟