こんにちは、ご無沙汰しております。
気付くともう夏になってしまいました…やっとPCとにらめっこする時間がとれました。
このシリーズもようやく10回目です。
今回は「ダンパー総上げ」という工程です。
今までの工程はピアノの「発音」にかかわるものでしたが、今回は「止音」にかかわる工程です。
↑の図で緑色で囲った部分、ダンパーの調整です。
ピアノは音を出すことはもちろんですが、音を止めるということがたいへん重要です。
ギターは手で弦を押さえれば、管楽器は息を吹き込むのをやめれば音が止まります。
ピアノも鍵盤から手を離せば音が止まりますが、演奏者が直接弦の振動を止めているわけではなく、ダンパーについているフェルトが弦を押さえることで音を止めています。
ダンパー総上げでは、右のペダルを踏んだときのダンパーの動くタイミングを調整します。
アクションを取り外して裏側をみてみます。
ずらっと並んだダンパーの下に、銀色の長い金属の棒があります。これがダンパーロッドです。(見にくくてすみません)
右のペダル(ダンパーペダル)を踏むと、このダンパーロッドがすべてのダンパーを持ち上げ、すべての弦が開放状態になります。
音を伸ばしたまま演奏できるのはこの仕組みがあるためです。
ダンパーペダルを踏んだときに、すべてのダンパーが同じタイミングで動くように調整します。
タイミングがバラバラだと、ゆっくりペダルを戻したときに、1音だけ音が残る、うまく音が止まらないといった症状が出ます。
ペダルを小刻みに踏みながら、タイミングの早いもの・遅いものを見分けます。
ダンパーについているワイヤーを前後に曲げ、ダンパーの動きを揃えていきます。
工具をかける位置は実際には見えないので、手探りでの作業です。
この工程ではペダルは立ったまま何度も踏み続けるので、長時間やっていると腰を痛めます(笑)
できるだけ早く済ませたい作業です…